九十二 実験番号 #4247
すいへいりーべ
すいへいりーべ
僕はひとつの瞑想の中にある。
僕は既に死んでいるのか?
有体離脱して何か霊的な世界に自分は存在しているのだろうか。
全ては許されざるあの日から始まったのだ
そのことを母は知らない。
母には苦しみを与えたくない。
敵を持つことは苦しいことだ。
この僕のように。
海で溺れて死ぬのと
誰か犯罪者に殺されるのとは
心が彷徨う場所は違うから。
母には健やかに過ごしてほしい
母はこんな風になった僕を、永遠の子供のように
抱きしめてくれる。
でも、抱きしめてくれる感覚はない
しかし何かが近づき、霊長の如く僕を包むとき
母はこの長男を泣きながら抱きしめたのではないかと思うことがある
嗚咽する声が聞こえる気がする
母の抱擁。
僕はこの母の子宮の彼方から生じたのだ。
なぜかそのことを誇りに思う。
奇跡だと思う。
明るい我が母。
賑やかなことが大好きな母。
本を読んでくれた母。
言葉を教えてくれた母。
命をくれた母。
命を。
三人の子供を立派に育て上げた。
僕だけが迷惑をかけてしまった。
僕はまだ生きている。
ただ五感の全てがなく、目も見えない
瞼の裏に、全ての世界がある。
そう。
瞼の裏だけに、僕の世界の全てがある。
その世界は全て過去の映像だけども
未来を超えるくらいたくさんあるのだ。
すいへいりーべ
すいへいりーべ