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星空出版 HOSHIZORA PRESS

ミステリー・連載

パラダイム

下代沢侯二
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第 80 章 七十七 業務転換 (赤髪女)

七十七 業務転換 (赤髪女)

「毎日夕方に、ですか。この場所に?」
「……。」
「埋立地ですかね、新木場。駅からは遠い。」
「質問と感想はいらない。」
「…はい。」
「毎日、三万円を、封筒に入れればいい?」
「うむ。」
「お金は?」
「報酬とは別に追加して用意してある。ポストを見ておけ。」
「了解しました。」
「例の綾瀬の人物に電話をすればいいのですか?」
「そうだ。」
「とくに名乗らなくてもいい。名前は尾嵜だ。尾嵜か?とだけ確認すればいい。金を毎日渡すと言えばいい。」
「この人物はいったい。」
「質問はいらない。」
「失礼しました。それと、猫の死体の方、は?」
「猫?」
「風間のほうです。」
「そちらは、なしでいい。」
「ほんとうですか」
「嘘をつく理由はない。」
「探偵の方は。」
「継続だ。基本はそちらを尾行しておけ。情報を拾い続けろ。」
「はい。」
「その合間に、この作業をすればいい。金を届けるだけだからな。簡単なことだろう。」
 ヘリウム声の指示者が幾つかの作業の方針を変えたらしい。探偵の情報収集は継続のようだが、新しくまた別の作業を追加するという。赤髪女には内容はどうでもよかった。作業が増えたということは増額した報酬が続くということである。
 追加の内容は、指示者のいう妙な場所に金を届けるというものだった。
 それほど複雑で難しい印象はない。綾瀬のもう一人の人間にGPSを取り付けるという作業に比べれば、よほど楽だ。金を届ける、というのは単純でいい。
 自分がやりやすい単純な仕事がいいのだ。もともと、社長さんの仕事をしてきた八年間は単純だったのだ。届け物が多かった。もしくは何かをゴミ箱に捨てるとか。とにかく誰とも会話せずに成り立っていた。

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