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星空出版 HOSHIZORA PRESS

ミステリー・連載

パラダイム

下代沢侯二
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第 51 章 四十八 暗い部屋 (人物不祥 村雨浩之)

四十八 暗い部屋 (人物不祥 村雨浩之)

 男は、電話を終えると、その暗い一室で、GPSの画面を見た。
 履歴をしっかりと見直す。
 GPSは目的の<三人の男のうち二人にまで>付けられた。二人とも狙った通りの恐怖を設定させながら、である。
 やはり、こうやって見ておくことは大切だと、男は思う。こいつらは、何をするかわからないし、そういう悪魔的な実績を持っている。元々その悪魔が互いに恐怖して傷つけ合う可能性を恐怖していたはずだ。
 誰の計画かは別として、十四枚の葉書はそういう設計だったはずだ。
 E N R T K U A A C S W C E O
 しかし、GPSを見る限り、風間も守谷も逃げている。風間は探偵事務所を徘徊した後、埋立地まで周り、そのまま内陸に戻るようにして、錦糸町の周辺で宿泊した。
 守谷は新宿の歌舞伎町から車で首都高を移動した。今はおそらく病院に逃げた様子がある。どちらも恐怖から逃げようという動き方になっている。
 防御や、攻撃のにおいがしないままである。
 つまり、この三人が殺し合うという方向になっていない。
 計画が悪かったということなのか?逃げるだけでは、だめだ。
 それでは困る。
 それでは解決をしないからだ。
 過去から届く、あの葉書を解決させることにならない。
 男は暗い部屋でその画面を見た。自分が書き込んできたドキュメントに綿密に埋め尽くされた言葉を、改めて見つめ直した。
 (このままで良いのか?)
 二人ーーー風間と守谷は逃げ惑っている。もう一人綾瀬の男の動きは把握はできていない。
 葉書が来てからもう一ヶ月は過ぎている。これまで相応の金をかけ、いくつかの仕掛けをさせてきた。猫の前で風間は逃げるばかりだった。守谷はどうだろうか。歌舞伎町であそこまでされれば命の覚悟をしなおしても良いはずだが。
 男は自問自答した。
 赤髪の女によれば、さらに状況が追加された。
 風間は探偵に頼ったという。
 なぜ、探偵などと話が始まるのか?それが奇妙だった。これは全く想定外である。男は、GPSを眺める。
 ふと、守谷がいた歌舞伎町に、なぜか探偵の車が置かれたままになっている。探偵の車が何故か、守谷のいた歌舞伎町に朝から向かっている、とも言える。
 一体、この探偵はなんなんだ?
 男は暗い部屋で画面を睨んだ。
 GPSは、青色が池尻大橋。もうひとつ緑色は新宿歌舞伎町。そしてオレンジ色のものが錦糸町。
 (やはり、綾瀬の男を動かさねばならないのだろうかーー。最も人間を殺すことが得意な男。実際に人間を率先して殺してきたとも言える、あの男をーー。)
 男は悶々とした。第三の男を絡めた最後の計画はある程度ドキュメントに記載を始めてはいた。しかし、できれば彼を絡めることだけは避けたかった。
 (あの男だけは何をするかわからん。)

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