実験番号 BSC9454
僕は本当に心の全てに彼女に恋をしたのだ。
そうして約束までしたから、勉強もすることができた。
(約束だよ)
という言葉がいつでも僕を応援してくれた。
今も、その声が木霊する。
人間において、学業や何があるかもしれないけども、人が人を思うというこの、純潔なる精神に優るものはないと、僕は信じる。そうしてその精神の目標に存在した、僕の最愛のひとを、誇りに思う。
そのあとのことは、もう潔く諦めた。それでいい。もし彼女が生きていて、僕に会いにきてくれたとしたら申し訳ないことだし、こんな体では迷惑だろう。
僕は覚悟をし、勇気を決めたわけだから、その判断を後悔はしない。むしろあの判断をせず、あの悪人たちに向かわずに泣き寝入りしたままで彼女を失い、過去を誤魔化して大人になって行くことの方が怖かった。永遠に夢でも彼女に合わせる顔がなかったことを思うと、そのことの方がゾッとする。だからこれで良い。
家族には、とりわけ母には申し訳ないことをした。ここまで育ててくれ愛してくれたのに、体を大切にしきれなかった。でも、くだらない勇気もない男として生きるくらいならば、愛する人間も守れもせずに恥ずかしい人生を生きるくらいなら、僕の決断は間違っていたとは思わない。奴らは許されない犯罪なのだ。罪なのだ。罪に目を閉じて、思考を停止し、長いものに同調だけして、本当に大切なものを守りもせず目を背けて狡猾に生き長らえる人間に、僕はなりたくはない。