実験番号 BSC98665
尾嵜という人間はヘラヘラと笑っていた。
「知ってたらどうするんだよ。」
「彼女に今会わせろ。」
「会えねえかもな」
「いや、なんとしても会わせろ。」
「そんなことより、お前、サツみたいにあちこちで調べ回ってるらしいな?」
「だとしたらどうする?」
「ははは。バカじゃねえの?お前、殺されるぞ?」
「そんなことしたらすまないぞ」
「それが済むんだよ。俺たちは」
「どうかな」
「警察だって守ってくれるからな。」
「馬鹿みたいな迷信をを信じてるだけだろ。」
「なんだと?」
「もしお前らが罪を犯していれば、地獄の底までも許されない。少年院からすぐ出たとかで許されると思うなよ。」
「なんだよてめえ。ふざけんな。」
「なにもふざけていない。説明しているだけだ。」
そんな言葉のやり合いのあと、実際に喧嘩が始まった。
やはり彼らは、一人一人に覚悟がなかった。
僕は素手で力を込めて何人かを殴った。僕は当初かなり善戦をした。
そうしてふとしたときに、彼らの何人かが、ナイフや鉄パイプを出した。
それでも僕は勇気を持っていた。
彼女のことを聞き出す。こいつら全員を倒して、なんとしても、今すぐ、彼女を助けにいく。
僕はナイフさえ気にせずに彼らを殴り返した。
だいぶ長い時間だった。相手は二十人くらいだった。最初殴った人間が回復して鉄パイプを持ってやり返してくる。自分は一人だった。
ふとしたとき、何者かに後頭部を殴られた。
少しずつ体の動きが悪くなった。
そうしてもう一度、今度はかなり強く頭を殴られたはずだ。
そのあとの痛みはない。
自分の体が動かず、意識が遠くなっていくことだけは覚えている。