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星空出版 HOSHIZORA PRESS

ミステリー・連載

パラダイム

下代沢侯二
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第 245 章 実験番号 ASY89008

実験番号 ASY89008

 次の週、僕は喫茶店で勉強をしたが、彼女には会えなかった。
 結果、その週は通らなかった。
 一週間でも会えないと苦しい。まるで永遠に会えないのではないかというふうにさえ思ってしまう。
 彼女はバイトを増やしたのだろうか。せっかく僕は想いを伝えたというのに。
 もしかして、それがいけなかったのだろうか。突然あんなことを言われたのが。
 僕は、彼女の家も知らないし連絡の方法もない。この喫茶店が唯一の方法だった。僕は連絡先を聞いてもいなかったことを後悔した。
 会っているその時はまた会えると思うものだ。しかし会えなくなると、どうしてこんなに不安になるのか。僕はやはり、昨夜が何かの影響を与えてしまった気がして後悔をした。しかしあの時彼女は
「ありがとう」
 と朗らかに言った。今日にもまたあの笑顔で僕の勉強している目の前に現れると思っていた。しかし一週間がすぎ、二週間がたっても会えなかった。
 僕は不安になった。
 どこでアルバイトしているのかも知らないのを悔やんだ。どう考えても、連絡の手段を計算して聞いておけば良かった。バイトをして金を貯めて卒業旅行に行くと言っていたから、途中で辞めるとは思えない。

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