三 実験結果 #55489
お母さん。
僕がこうなってしまったことを、本当に申し訳ないとおもいます。
お母さん。
僕を本当に大切に育ててくれてありがとう。
お母さん。
いつも申し訳なかったと思っています。
頂いた命を、粗末にしたと言われればそうだったのかもしれない。
しかし、男として勇気のないまま姑息に生きることは僕には難しいことだったのです。
逃げ回ることには僕は納得ができなかった。
現実に目を曖昧に背け、本当は自分の手で未来を変えられるかもしれないのに、漠然と周りがやらないから自分も見て見ぬふりをする。そんな風に物理的には逃げていないように見えて、ただただ臆病に目を背けて逃げているような生き方を僕はできなかった。
いや、時と場合によっては、臆病に生き延びることも何処かで大切だったのもわかる。そんなことはわかっていました。幾度も、あの冬に僕は幾度も悩み、考えたのです。
結論から言えば、僕にとってはそういう現実以上に、ただただその人が大切だったのです。
許せないものは許せません。
人間は簡単に犯罪者になる。
今日まで、こうやって言葉を伝えることさえできずにきた日々のなかであなたは、一度もわすれることなく僕を愛し、植物人間と呼ばれる僕を、今までと何も変わらずに支えてくれました。本当にご苦労をかけました。
今はただ、親不孝の三十年をどうにかして取り戻せないか、と思っております。