十八 GPS (赤髪女)
赤髪女は、その日一日中、GPSで風間を追った。
探偵事務所を出ると、風間正男は麻布十番商店街から芝公園へと抜け、桟橋を晴海から有明へと抜けていった。埋立地の方へとむかっていく。
しかしこの中年男はよく歩く、と赤髪女は思った。歩くのは嫌なので少しずつ地下鉄で間合いしながら追うのが面倒だ、とおもった。
夕方近くまで歩みは止まらなかった。
歩き続けて東京の東の端、江東区の新木場まできた。その先は舞浜、千葉である。
新木場で右に折れると、風間は今度は海の方へ向かった。
埋立地に入ってからは不動産屋も少ないのだろうか。ほとんど立ち止まることなく進んでいる。とにかく、よく歩く。いや、おそらく猫の死体からの恐怖で足が進むのかもしれない。もうすでに夕暮れは終わって夜になっていた。時計を見ると、もう夜の七時を過ぎていた。
海沿いで何をしているのか判らなかったが、しばらくしてから、また新木場の駅の方に戻ってきた。そうしてまたきた道を歩き出した。電車に乗る金もないのかと、赤髪女は思った。そのまま今度は隅田川沿いを北上して歩いていく。それにしても随分体力がある。そうしてまた1時間ほど風間は北上を続けた。
GPSを設置していなかったら間違いなくこの男の相手はできなかっただろう。