十四 海岸線 (レイナ)
レイナの目の前に海が広がっていた。海岸をカモメが幾度か舞っていた。トレーラーは少しずつ茨城の海から南へと進んでいた。
十三個目のピアスは悪くない。指先で摘むと、肌ではない銀の冷たさが心地良かった。
今度の軽井澤さんの仕事は、今までの単純な調査ではなかった。Googleから繋がった、新しい顧客は随分特殊に思われたが、まずはやれることを用意しようとレイナは思っている。
Googleでやってくると言うことは、ネットのさまざまな場所を通っている。道を順々に歩いて行くようにネット上での行動には全ての「道のり」がある。適切な技術さえあれば、誰でもできる追跡手法が世界中に溢れている。
レイナが少し調べただけで、風間正男は、典型的な不審者と言えた。
職業もよくわからない。クレジットカードも持っていない。
加えて不気味な依頼の内容である。
葉書の差出人を調べたいという。
葉書に関しては、今朝、御園生くんから追加分が届いた。Eだけの葉書でなく合計十四枚分のほかの葉書も含めたPDFが送られてきた。
E N R T K U A A C S W C E O
手書きの筆跡で、アルファベットの文字違いがある以外は、宛先含め全てどれも同じ内容だった。ネズミ文字の手書きで繰り返し書かれている。レイナは気持ちが悪かった。自分で言うのもなんだが、これは普通の人間がすることではない。なにか、通常でない事情があるはずだ。
ただ、そういう異常は、ネット上で何らかの足跡を作る可能性もある。まずは少しずつスクリプト組んで情報獲得を進めていく、のがいいかもしれない。
軽井澤さんの仕事は丁寧に行いたいと思っている。