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星空出版 HOSHIZORA PRESS

ミステリー・連載

パラダイム

下代沢侯二
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第 230 章 実験番号 GWU23128

実験番号 GWU23128

 運動会は、重要だった。僕たちの中学校は、ひと学年十五クラスもある巨大なものだった。教室の中にいても、その人のことを僕はしばしば考えがちだった。しかし日常でその人に出会えることはなかった。僕が教室に入ればその人のクラスの体育は外でやっている。僕らが外にいればその人は教室にいた。
 だから年に一度の運動会で、クラスの垣根なくグラウンドにみんなが出る時は貴重だった。群衆する生徒の中で、僕はいつもその人を探した。僕は運動会のリレーの選手に選ばれて、走った。部活に打ち込んだせいで体力には強く自信があった。最初その人のクラスは、B組で、僕はH組だったから、つまり、十五クラスあるのでO組まであったのだが、ぼくはクラス対抗のリレーで何番目かを走った。運動会は校庭に楕円形のトラックが設けられ、応援席はクラスごとにアルファベット順に並んでいた。僕の走る第三コーナーのちょうど曲がるあたりに、B組の応援が並ぶ場所があった。僕はバトンを受けて必死に走りながら、そのB組の群れの中にその人を探した。最強の動体視力を持つボクサーは試合をしながらその向こうにいる観客を見れると言うけど、実はその時僕は幸運にも群衆の中にその人を発見したのである。自分の動体視力のおかげなのか、その人の輝きのせいかは判らなかったが、猛然と最大出力で走る自分の身体の中に何か稲妻のように輝くものが燦爛した。僕はそのまま他の生徒らを牛蒡抜きをした。

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