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星空出版 HOSHIZORA PRESS

ミステリー・連載

パラダイム

下代沢侯二
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第 232 章 実験番号 GWU46128

実験番号 GWU46128

 ある時から、僕は他の人間が届かぬ高い目標こそがその人に見合う自分になると思うようになった。恋とはそういう自己定義を迫るものである。
 その人がこの世界に唯一無二のものの存在だと確信していく。唯一無二のものに見合う自分になるには運動会だけでは駄目だ。全ての勝負で僕は勝たねばならない。そう思い込むようにした。僕は部活でも誰よりも走った(サッカー部だった)。残念ながらサッカーの世界で勝ち続ける程にはならずだったが、逆にスポーツで勝てないのなら何で勝つのか?と自問自答した。結果、部活を終えた後、三年の後半は受験勉強に邁進した。なんとなくその時は予感で、スポーツで勝てないなら成績で勝つしかないと言う程度の目標設定ではあったが、無事都内の進学校に合格し地元から都内に通うことになった。
 恋は人間にある一定の力学をかける。僕の場合はその人の美しさに自分の間尺が合うように真面目に努力をすることだった。殆ど何も接点はなかったが部活も勉強も僕が全力をかけて禁欲的に努力するその原因がその人だった。そうして脇目もせず、努力に身を捧げている時に、一つの純粋さが自分に天から降りてくる。その透き通った天の水滴には、その人と僕が同じ方角に向かわせる権威があった。純粋に美しいものに並ぶ為には、僕のような穢れた人間にはそう言う努力が必要なのだと、強く思われた。

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